桜庭あさみのつぶやき

桜庭あさみの漫画のお仕事や、日常のつぶやき日記です.

◆桜庭あさみのつぶやき◆  漫画家の桜庭あさみの日常や漫画の制作、お仕事などつぶやきます

中学校の先生から漫画家になった私のお話

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私は中学校の先生を12年間勤めて、最後の5年間は隔月で漫画の仕事をやっておりました。

 

中学校の先生になる前は漫画家志望だったのですが、高校時代は進学校に通っておりまして勉強に忙しく、イラストや2次創作のショート漫画ぐらいしか描けず、その反動で大学に入ったら二次創作の同人誌にはまってしまい、オリジナル漫画を完成させたのは2作のみでした。

 

短大で卒業した後も1年間、研究生で大学に残ることが決まっていて、

「あと1年あるから、それから投稿はがんばればいいな」
などと思っておりました。

 

ところが受かると思っていなかった中学校の先生の採用試験に受かってしまい、大学で現役合格できたのは私含めて2名しかおらず、両親も非常に喜んでくれて、漫画は投稿もしておらず、担当さんもいない状況では

「漫画家になりたい」

と、とても言えずあきらめて、中学校の先生になるしかなかった状況でした。

 

しかし卒業式間近になり、アルバイトでためたお金で

「最後の記念に」

と、初めて上京して、オリジナル漫画を出版社数社に持ち込みましたら…

担当さんがついたり、有名な漫画家さんのアシスタントをご紹介されたりされて…

 

すみません。

 もう長崎で中学校の先生をやることが決まっていて…

 

と、断ったアホな私でした。

 

投稿作品は、担当さんから

「自分の担当の漫画家に描かせたいから、この話をくれないか」

とまで、言われました。

 

原作料のご提示はなかったので、それもお断りしました。

 

もう漫画家になるのはここでいったんあきらめて、趣味で時間があったら描いていくつもりでした。

 

そうやって中学校の先生になった1年目は、先生の仕事がとても大変でした。

 

授業の1時間分教えるために1時間以上の教材研究が必要で、先生になった1年目は美術の授業の上に、国語も教えなくてはならず、学校で授業や事務仕事が終わって帰宅してからも寝るまで教材研究の日々の上に、荒れた学校でよく校内暴力が発生しており、最初は生徒達も美術の道具も持ってこず、授業も真面目に受けませんでした。

 

生徒達に真面目に授業を受けさせる教材研究や、授業のやり方の工夫がかなり必要で漫画を描くどころか、考える暇もありませんでした。

 

その苦労した甲斐があり、ろくに作業せず大声でしゃべりまくり、授業中でも立ってうろついていた生徒達が、3学期には授業中は私の足音しか聞こえないほど静かに集中して、生徒達は作業をするようになりました^^

 

それにバレー部の顧問もやらされて、県大会でベスト8位にまではいった強いチームで放課後の数時間練習見学、毎週日曜日が公式試合や練習試合の引率で埋まるのです。

 

当時日曜日に公式試合に1日引率して、申請しても交通費も出ず、日当500円が支給されるのみで、本当にブラック企業の塊でした💦

 

そんな風で先生になった1年目は、友人に頼まれた同人誌の表紙のイラスト1枚しか描いていません。

 

ところが2年目になり1年生の担任になり、私の気持ちが変わったのです。

 

初めての担任になり、担任の生徒さん一人一人のことがとても心配で頭から離れず、学校から仕事が終えて帰宅してもずっと頭から離れず、保護者の方にもよく連絡したりして、ますます私の睡眠時間が削られ、睡眠が足りないので

 

勝手味わったことのないひどい便秘になってしまい…

 

顔もすごい大きなニキビがたくさんできて腫れまくり、病院に通わなくてはならいほどになって…💦

 

学校の仕事と自分の生活をはっきり区別しないとだめだ

 

と思い、学校の仕事は何時になっても学校で済ませて、帰宅したら別のことをしようと考えました。

 

それで別のことで浮かんだのが、大学卒業前にオリジナルのファンタジーマンガの長編を描きたく同人誌を出すつもりでいたので、それを始めることにしたのです。

大学時代は隔月でP32ぐらい描くぐらいの速さでしたが…、先生やりながらで上記の1年目のような忙しさの上に担任までしていたので、描ける時間を捻出するのが本当に大変でした💦

それでも先生になって2年目で、1年間でP50近く描け、3年目は1年間でP80ほどになり、4年目はもっとページ数が増えて

 

私は、漫画家になれるわ

という確信が同人誌の売り上げとともに、もてるようになりました。

 

それで長編ファンタジーの5冊目発行あたりで、夏休みにコミケに毎年参加していたので出版社に持ち込みを始め、翌年には担当さんが着き始め、少女マンガファンタジーの連載でデビューするまで、同時に数社担当さんがついていました。

 

長くなったので、どうやって先生をやりながら漫画を描く時間を捻出したのかやどうして5年間も先生やりながら漫画の仕事をしていたかなどは、後日ブログで書きたいと思います^^

 

私を反面教師としての教訓なのですが

 

本当に漫画家になりたいなら、オリジナルの投稿作品を早く描いてください。

そして早く持ち込みや投稿をしてください。

 

今は原作付きのお仕事も多いのですが、初心者の方は特にP16でも1本しっかり完成させるとレベルがかなり上がるので、作品を上げることが本当に大切です。

 

どうか私のようにのんびりして、チャンスを逃されたりしませんように!