2日前の深夜に、Twitterのトピックスでオリンピックの楽曲をされていたミュージシャンの方が、過去に雑誌で学生の頃、同級生をいじめた告白の記事を書き、かなり話題になったので、私の中学校の教員時代のいじめの話をツィートしました。
中学校で1年生の担任をしていた時にいじめを見つけ、いじめている生徒に「いじめなんてやめなさい!」と怒ると、「絶対いじめはやめない!」と言われたことがあります。
— 桜庭あさみ@「丸山遊女~復讐の蕾~」連載中 (@AsamiOuba) 2021年7月15日
被害者の生徒は、小学校の時にその生徒をひどくいじめた生徒でした。
「いじめられたことは、絶対忘れられない」のです…。
それがこの2日間ですごく反響をいただき、もう現時点で1,4万のいいね!をいただき、リツィートも、コメントもすごく多くいただきました。
ご自身がいじめ被害にあわれた方のコメントも多く、当時つらかったご経験を察することができ、本当に私自身も心動かされ、コメントを書いてくださった方全員にお返事を書きたくて仕方がないほどです。
もうすでに個人でお返事ができるコメント数ではなく、本当にせっかくコメントを書き込んでくださったのに、本当に申し訳ございません。
中学校の美実教師を12年つとめ、最後の5年は漫画家としてもデビューして、二足のわらじで仕事をしておりました。
デビュー前から上京はすすめられておりましたが、漫画業界のことが長崎の地方ではよくわからず、
「漫画家で本当に食べていけるの!?」
という不安と、教師のお仕事自体は、生徒さんに教えることやかかわりが大変楽しかったので、なんとか両立させながら5年も教師と漫画家をやっていました。
私が教師になったのはもう20年以上前の話です。
その時の経験なので、今のいじめとは本質や内容がずれていることもあるかもしれませんが、その点はご容赦ください。
12年間の間にいろいろいじめは、見つけてきました。
当時は学校でいじめがあっていることは、ひた隠す風潮がありましたが、いじめははびこっていました。
いじめる理由は多種多様で、「ちょっと人と違う身体的特徴や癖がある」から、差別、格差をつけたい、ストレス解消、ひまつぶし、「そもそもいじめと思っていない」まであり、だれでもいじめの被害者になりえます。
なのでまずいじめの被害にあっても
「自分が原因だから」
とは、思わないでください。
教師をやっていたからわかりますが、いじめの相談をしても頼りにならない教師もけっこういましたので、福祉の「いじめ相談」窓口に電話するか、学校に行かない、または保護者の方に相談して他の学校に転校をしてもいいと思います。
「いじめられるのは、お前に原因があるんじゃないか」
という教師は、まずあてになりません。
逃げていいと思います。
一人で思いつめないようにしてください。
いじめる加害者も、Twitterで書いたように、学校、学年が変わったり、新しい転校生がきたりして環境が変わると、逆にいじめられる側になることは、けっこうあります。
「いじめられた恨みは、絶対忘れられません」
ので、何件もそんなしっぺ返しのいじめ事件は、本当にありました。
私は、いじめがわかった時点で、過去の他の学校や前の学年の時のいじめが原因だと言及し、加害者も、被害者も指導をしました。
ただ私の経験から、加害者から被害者になった生徒は、自分のいじめが原因だとわかっているので、私が気づかない限り「自分からいじめられている」と教師や大人には相談をしたりすることはありませんでした。
「他人の痛み」を想像できなかった人たちが、自分が被害者になってやっとわかる痛み、そして恨みの連鎖は本当に悲しいです。
こんな事件もありました。
短大を卒業したばかりの20歳の時に教員になりまして、その2,3か月後に放課後、美術室の前の廊下を走っていく2年生の生徒A君が1人いて注意をしようとしましたら、そのあとを20名近くの部活の服をきた男子生徒たちが追いかけていくのです。
びっくりして追いかけたら、裏庭で生徒A君を囲んで殴る寸前でした。
私はとにかく必死で、A君の前に立ちかばいました。
先頭の柔道着で黒帯をしめた生徒から「どけ!」と怒鳴られましたが、「どかない!」
と言ってにらみ合い、他の男の先生がかけつけてくれて、何事もなくA君も無事で、集団で暴行しようとした生徒たちは、その学年の先生たちから厳しく指導をされました。
しかしその数か月後ー
放課後A君とその仲間4名が、体中血だらけになって、校舎が工事中でおいてあった鉄筋をもって、すごい形相をして走っているところが見つかりました。
他の男子生徒たちから集団で突然暴力を受けて、その仕返しに行く途中でした。
その4人の一人の怪我を私は消毒してやりましたが、殴られてぼこぼこにされて悔しくて泣いているその生徒を見て、私も
「こんなことが、いつまで続くの…?」
と泣いてしまいました。
いじめられたA君は、小学校のときに悪ガキでボスみたいな存在でよくいじめをやっていて、中学校になって他の小学校からも生徒が集まり、いじめた生徒たちも体格がA君よりよくなり、立場が逆転しました。
1年の時からずっと続いていることで、その学年で問題として保護者会も何度もあったのですが、2年の終わりまではずっといじめられていました。
この恨みの連鎖を解くためには、そもそも「いじめをやらないこと」の予防、そして早く周囲の大人がいじめに気づいてあげることが必要だと思います。
保護者の方には、お子さんの異変に早く気づいてあげてほしいのと、あまり他人の悪口や差別を、子供の前で言わないことをお願いしたいです。
教師のほうも、生徒の異変に早く気づくことと、巧妙ないじめをみつける情報網の確保が必要です。
生徒と信頼関係があれば、情報はけっこう入ってきます。
いじめの疑いがあれば、すぐその加害者に聞くのではなくて、加害者が言い訳ができなほどのいじめをやった証拠を見つけてから、指導すると効果は発揮できます。
そして全部いじめの解決が見えたら、必ず被害者と加害者の保護者に、すべてご連絡することが大変重要です。
お説教くさくなり、大変申し訳ありません。
(※無断転載禁止)