桜庭あさみのつぶやき

桜庭あさみの漫画のお仕事や、日常のつぶやき日記です.

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江戸時代長崎の唐人屋敷

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連載中の「丸山遊女~復讐の蕾~」の主人公は唐人と日本人を相手にする遊女で、唐人が滞在している唐人屋敷に呼ばれて行きます。

 

今描いている原稿で、アシスタントさんがご苦労をして「唐人屋敷」の俯瞰を描いていただいたので、あまり知られていないので説明をまた書いておきます。

 

出島は有名で現在も復興されているのでご存じの方は多いと思うのですが、唐人屋敷は跡地にお寺ぐらいしか残っておらず、あまり知られていません。

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連載の江戸時代中期後半は、鎖国政策のためオランダと中国(当時は清国)とだけ長崎でのみ貿易を許可されており、滞在地を出島、唐人屋敷と決められていました。

 

唐人屋敷の広さは、約3万平方m(約幅140m、奥行き250m)の長方形で、普通の野球場3個分の広さだそうで、出島の約2.4倍の広さです。

 

出島はよりは広いと言っても、出島には幹部約15人しか住まず、後の船員たちは船で暮らしており、唐人屋敷の唐人(中国人)の滞在人数は2000人を超えていたこともあるので、かなりのぎゅうぎゅう詰めな感じです。

 

それに毎日遊女が100人前後来ていたので、かなりにぎわっていたと思われます。

 

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左側が入口の二の門で、その前に表門があり、全体を塀で囲まれている上に竹柵でさらに囲まれていました。

 

一部塀と竹柵の間に、堀があるところもありました。

 

表門までには、まだ門がいくつかあり橋もあり、出入りは大変厳しく、許可されたものしか入れません。

 

二の門の前までは、日本人が生活雑貨や食料などを売っている市場があり、許可された行商人が出入りできました。

 

二の門から右側が唐人たちの居住地になります。

 

唐人の相手をする遊女も、入る前に届け出が必要で、二の門の近くで身体検査をしたりする役人の詰め所もあります。

 

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二の門から入ったときに見える風景です。

 

建物は最初日本の屋敷で建てられていたのですが、滞在する唐人たちが勝手に住みやすいように改築をしていくので、中華と和が混ざる屋敷になりました。

 

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主人公が身分が高く大金持ちの唐人に、1年間の居続け(滞在)を強要されて、19話からほとんど唐人屋敷の生活でした。

 

通常遊女の滞在期間は1泊で、客の要望があれば延長で泊まれる仕組みです。

 

板主(船の持ち主)は、唐人屋敷にいる間住んでいる屋敷の家賃や生活費、部下の唐人水夫への給料も出さなくてはならないので、滞在するだけで非常にお金がかかるため、客の唐人の長崎の滞在期間が基本約3か月前後なのです。

 

そのため遊女の居続け(連泊)は、どんなに長い唐人屋敷の滞在でも3か月弱のはずが、1年も居続けを要求する上記の唐人がいかに金持ちかわかるエピソードです。

 

唐人の相手をする揚げ代は、1泊15匁(現代のお金で言うと約33,000円前後)で、その上必ずチップとして高価で取引される砂糖や、貰い物をもらえます。

 

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貿易でも多大な利益が発生をしていたのですが、唐人や阿蘭陀人たちが丸山遊女に入れ込んでかなりの大金を落としていったようです。

 

なので長崎は江戸幕府から長崎奉行など役人が派遣された直轄地で、役人の体系や役職名も他の藩や江戸ともかなり違います。

 

おかげで主人公は太夫に昇格でき、あと数話で上記の唐人は帰国するので、やっと丸山遊郭に戻り日本人の相手をする予定の主人公です。

 

comic.k-manga.jp

まんが王国で先行配信中です。

 

11月8日には、各サイトでも20話が配信予定です。

唐人屋敷から1年間一歩も出られない羽目になりそうな主人公の危機回避の回です。

グルメ漫画になっております。

 

どうかよろしくお願いをいたします^^

 

 

 

ご興味のある方には、この本が質問に答える形式になっており、とてもわかりやすい本でおススメです^^

 

この説明をずっと書きたくてたまらず、やっと書けてすっきりしました^^